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【第3章】第2節 絶縁用防具・活線作業用器具

1.絶縁用防具の種類と使用目的

絶縁用防具には、ゴム絶縁管、絶縁シートなどがあります。いずれも絶縁用防具の構造、絶縁性能等について厚生労働省告示「絶縁用保護具等の規格」に規定されています。

使用目的は、充電電路に防護を行い作業者や他の構造物・電路等との接触による事故を防止することです。安衛則第347条では「充電電路に近接する場所で点検修理、電路又は支持物の敷設等を電気工事として行う場合、作業者が充電部に接触する事によって感電する恐れがあるときは、充電電路に絶縁用防具を装着しなければならない」、と規定されています。


1)ゴム絶縁管

ゴム絶縁管は、低圧・高圧電線路の充電部を取り扱う際、または接近して作業しなければならない時、あるいは作業中低圧・高圧部分や異相間が混触する恐れのある場合に使用します。

使用前点検として、内面、外面のひび割れ亀裂の有無を調べ、特に内面は電線などの接触(滑らせて取り付ける事)が多い為、開いて見る必要があります。

作業上充電部に取り付けたゴム絶縁管の上から押す引くなどの圧力をかける必要がある場合は、更にゴムシートを被せ二重防護をします。持ち運びは、所定の収納袋に入れて損傷しない様に行います。

ゴム絶縁管

ゴム絶縁管


2)絶縁シート

絶縁シートは、低圧高圧の活線作業で接続部分や突起部など充電部の保護、または二重防護の為ゴム絶縁管の上から重ねたり、露出充電中の開閉器の防護等に使用します。

使用前点検は、表裏ともに全体的にひび割れ亀裂などの異常がないかを良く調べ、特に内側折り曲げ部分は軽く引張りを入れ確認します。

使用上の注意として、充電部作業中は接地面と絶縁することにより人体が通電経路とならない様に使用し、持ち運びは所定の収納袋に入れて損傷しない様にします。

低圧絶縁シート:右はマルチカット用

低圧絶縁シート:右はマルチカット用


3)耐電用ゴムマット

耐電用ゴムマットは、作業者の足元に敷きその上で作業することにより、万一充電部分に触れても地面に電気が流れる(電気回路を構成する)ことを防ぎ、感電災害を防止する役割を果たします。

低圧絶縁シート:右はマルチカット用

耐電用ゴムマット


2.活線作業用器具

1)ホットスティック

ホットスティックは、架線作業などでの無停電工法の際使用するもので、手に持つ部分が耐電材料で作製された棒状の絶縁工具です。この棒状の先端に作業目的に応じた工具が取り付けられ、手元で操作して作業を完成させます。

ホットスティックの例

【参考】

高圧電力配電線(外線)の活線作業は危険である為、かつては一般家庭・企業・生産工場等需要家の都合にかかわらず、事前通知を行ったうえで停電工事が実施されていました。しかし近年は停電工事に対する技術研究開発が進み、「無停電工法・無停電工事」が取り入れられる様になり、不便さが軽減されました。中には工場・施設等その建物独自の諸条件によって全てが無停電という訳にはいかないケースもありますが、この様な場合においては停電範囲や予定時間の確認等、双方が緻密な打ち合わせによって安全に施工が完了するように計画し実行されます。

色々な条件があっても、先ず使用者に優先的に電力を送るという観点から、非常に進んだ工法と言えます。

ホットスティックなどを使用した無停電工法による作業例

写真:ホットスティックなどを使用した無停電工法による作業例
活線に触れることなく作業ができるようになり、感電災害が著しく減少した。

 

 

 

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