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【第1章】2.健康管理①

2-1 労働衛生の三管理

労働者の健康障害防止のための基本的な考え方として、「労働衛生の三管理」があります。

イ.作業環境管理
作業環境中の種々の有害因子の状態を把握・除去・低減して、良好な状態を確保するもので、作業者の健康障害を防止するための根本的な対策。
粉じんの発生そのものを抑える、粉じんが発生しない材料へ代替など作業環境自体を改善する。

ロ.作業管理
作業環境を汚染しないような作業方法や、有害要因のばく露防止や作業負荷を軽減するような作業方法を定め、健康障害の防止を図る。
イ.の作業環境改善が十分でない場合は、換気や保護具の使用など、作業のやり方で作業者への影響を極力減らす。

ハ.健康管理
作業者個人の健康状態を定期的にチェックし、異常を早期発見して進行・悪化を防止するとともに、異常の発生原因と作業環境管理・作業管理の因果関係を調査し、必要な対策を講ずる。
日々の健康チェックとともに、定められた定期健康診断(一般・特殊)で健康状態を把握することにより、健康異常を早期に発見し治療や業務の変更など適切な措置を講ずる。
また、作業者の中に健康障害が発生するということは、作業環境管理や作業管理が不十分ということであり、早急に改善することが求められる。

労働衛生の三管理

以上のように、三管理は相互に関連し補完すべきものであり、また、粉じん作業だけでなく有機溶剤や石綿を扱う作業、暑熱環境(熱中症)など、他の健康障害が発生する恐れがある作業にも通用する手法です。

2-2 粉じん障害における健康管理

じん肺は長年の粉じん作業による病気であり、重症化してやっと自覚症状が現れる傾向があるとされています。
従って、その発生や悪化を防ぐためには、専門的かつ定期的な検査が欠かせません。

じん肺健康診断は、(1)就業時(2)定期(3)定期外(4)離職時の4段階で行う事とされています。

(1) 就業時健康診断
新たに常時粉じん作業に従事することになったとき。ただし、次の者を除く。

① 当該就業日前に粉じん作業従事歴がない者

② 当該就業日前1年以内にじん肺健康診断を受けてじん肺管理区分が管理1、管理2又は管理3イである者

③ 当該就業日前6月以内にじん肺健康診断を受けてじん肺管理区分が管理3ロである者

(2) じん肺の定期健康診断

じん肺の定期健康診断

① 粉じん職歴の調査
じん肺の診断は、まず粉じん作業の職歴の有無について問診することから始まります。

② 胸部レントゲン検査
高圧撮影法でおこなうことが望ましい。
平成13年6月よりCR写真もじん肺の診断に使用することができるようになりました。
なお、指定された条件で撮影する必要があります。

③ 胸部臨床検査
自覚症状の問診等
咳、痰、呼吸困難の程度、動悸、胸痛などの有無について問診します。
呼吸困難度の調査はじん肺管理区分の判定にも重要です。
じん肺法の呼吸困難度はいわゆるHugh-Jones分類を基礎としています。

呼吸困難の分類

二次検査
一次検査で「著しい肺機能障害」があると判定されなかったが呼吸困難度が第3度以上で「著しい肺機能障害」が疑われる場合二次検査として肺胞気・動脈血酸素分圧較差を測定します。
肺胞気・動脈血酸素分圧較差が限界値を越える場合「著しい肺機能障害」があると判定されます。

(3) じん肺の定期外健康診断

① 常時粉じん作業に従事する労働者(じん肺管理区分が管理2、管理3又は管理4と決定された者を除く。)が安衛法第66条第1項又は第2項の健康診断において、じん肺の所見があり、又はじん肺にかかっている疑いがあると診断されたとき。

② 合併症により1年を超えて療養のため休業した労働者が、医師により療養のための休業を要しなくなったと診断されたとき。

③ 合併症により1年を超えて療養した労働者が、医師により療養を要しなくなったと診断されたとき。

④ 常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理2である労働者が安衛則第44条又は第45条の健康診断(胸部エックス線検査及び喀痰検査に限る。)において肺がんにかかっている疑いがないと診断されたとき以外

(4) じん肺の離職時健康診断
離職の日まで1年を超えて使用していた労働者が当該離職の際にじん肺健康診断を行うように求めたとき。

なお、じん肺法では、じん肺の進展を防止するための措置のほか、じん肺管理区分が4の者および合併症にかかっている者については療養を要すること等が定められています。
合併症とは「じん肺と合併した肺結核その他のじん肺の進展経過に応じてじん肺と密接な関係があるとみとめられる疾病」を言います。

 

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