【第1章】4 安全活動③
4-1 各種安全活動 2)4S活動
4S(よんえす)活動とは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」をキーワードに、職場環境を整備・維持・改善することを目的にして行われる運動です。主に製造業やサービス業で実施されてきた活動ですが、今では業種を問わずさまざまな分野で取り組まれており、単純に4Sと言われることもあります。躾(Sitsuke)を加えて5S運動を推進しているところもあります。
一つひとつの項目は取り立てて「活動」というほどの特別なことではないようですが、通路に放置されていた不用品が災害を招くことは往々にしてあることですし、4Sは現場管理の基本である「品質」や「工程・効率」、ひいては「原価」にも大きな影響を与えます。
また、4S(又は5S)活動は、厚生労働省の『安全衛生関係リーフレット等一覧』で公表されている業種別リーフレット、各種通知文書・マニュアルなどの中にも、災害防止対策としてKY活動とともにほぼ業種の別なく掲載され、安全面の重要項目となっています。
4Sを効果的に進めるためには、以下の点に配慮する必要があります。
①経営トップ(事業場のトップ)が強い関心を持つ。
②職場全体で4Sの意義と効果を共有する。
③職場ごとに4Sの具体的な基準を作る。
④職場での各人の分担する役割を決める。
⑤基準どおりに4Sが確保されているか、管理監督者が常時確認する。
⑥毎日の仕事に4S確保の取り組みを組み込む。
4-1 各種安全活動 3)ヒヤリ・ハット活動
事故と災害の関連について、「1件の重篤な災害があったとすると、軽傷災害が29回、傷害のない事故が300回起きている」という「ハインリッヒの1:29:300の法則」がよく知られています。これは災害にまでは至らない危険を予防することによって、大きな事故の発生を防止することにつながることを意味しています。
事故には至らない職場での体験を報告するヒヤリ・ハット活動は、危険防止に有効な手段です。
ヒヤリ・ハット活動を有効に行うためには、作業者が経験したヒヤリ・ハット体験を報告しやすくする工夫が必要です。
また、報告された情報を災害の防止につなげる仕組みを作ることが必要です。
4-1 各種安全活動 4)安全提案制度
職場の機械・設備や作業方法などについての安全上の問題点に対する対策を、職場のメンバーから提案してもらうのが安全提案制度です。提案によって具体的な安全対策が立てられる可能性はもちろん、作業者自身が提案することによって安全意識が高められるという効果も期待できます。
なお、例にあるように品質や効率の向上なども含む、職場全体の改善を対象とした取り組みも実践されています。
また、活発な改善提案が出るように、以下の点にも配慮します。
①提案は無理強いしない
②内容に異議を唱えない
③提案の様式は簡単にする(必要により聞き取りをすればよい)
④採用した提案は顕彰する
⑤課題提案や提案月間を設けるなど全員を巻き込む工夫をする
4-1 各種安全活動 5)安全当番制度
作業者個々の安全意識を高めるために、全員が交代で安全当番、安全日直、安全週番などを担当するようにする取り組みです。
安全当番は、通常の作業に加えて安全パトロールや4S活動、保護具の点検などを輪番制で担当することによって、安全意識の向上を図る組みです。
不向きな人に無理強いは禁物ですが、なるべく全員が月に1回程度は担当するようにします。
必ず安全日誌などに気がついた点を記入してもらい、責任者はそれに目を通したうえで必要な処置を講じます。
4-1 各種安全活動 6)安全パトロール
名称からは「安全」を確認する活動のようですが、職場を巡回し、機械設備・作業方法・作業環境などの「危険」を発見する活動です。
「危険」が発見できれば事故や災害を未然に防ぐことが出来ます。これもやはり「不安全状態」や「不安全行動」を減らすための手段です。5)の安全当番の業務の一環として行われる場合や、安全パトロールのみを対象として輪番制で行われる場合、安全も含め職場の問題点全般を様々な目で洗い出す目的で行われる場合などがあります。
なお、このパトロールを安全管理者の巡視に随行して行うか当番のみで行うかによって、その後の対応も変わってきます。安全管理者には危険に対して応急の措置を講ずる権限がある筈ですが、当番は権限を持ちませんので、単独で行う場合は報告の方法や処理手順に関するルールも作成しておく必要があります。
4-1 各種安全活動 7)ツール・ボックス・ミーティング(TBM)
ツール・ボックス・ミーティング(TBM)とは、作業チーム単位で行う作業開始前の打ち合わせのことです。アメリカの職人さんが道具箱(ツール・ボックス)を囲んで打合せをしていたことからこの名がついたと言われています。
朝の作業に取りかかる前や、午後の作業開始前などに5?10分程度で、仕事の範囲、段取り、作業上の注意点、危険のポイントなどを確認します。
進め方としては、職長等の監督者が情報提供や指示をし、全員が理解したことを確認します。
また、その際に現地KYを実施し、行動目標を定めて指差し呼称を実施します。
4-1 各種安全活動 8)その他の安全活動
上記以外にも、「指差し呼称」、「安全点検」、「安全朝礼」、「安全ニュース」、「安全日誌」、「家族参観」、「安全の日」「安全週間・月間」など、様々な安全活動が行われています。
自主的な安全活動に関して、「こうでなければならない」ということはありません。その事業場ごと、業種や人数、職場環境などを考慮したうえで、「不安全な状態」や「不安全な行動」を組織的に減らしていく取り組みであって、より多く成果が望めるものなら何でもよいわけです。
そうかといって企業は「安全」を目的に活動しているわけではありませんので、いかに低コスト、つまり最短・最少人数・最少金額で効果的な活動を計画し、実践・継続していくかに取り組んでいかなければなりません。その推進役もまた安全管理者に望まれるところです。
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