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【第5章】6.じん肺法及びじん肺法施行規則(抄)①

6-1 じん肺法

(目的)

第1条 

この法律は、じん肺に関し、適正な予防及び健康管理その他必要な措置を講ずることにより、労働者の健康の保持その他福祉の増進に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 じん肺 粉じんを吸入することによつて肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病をいう。

二 合併症 じん肺と合併した肺結核その他のじん肺の進展経過に応じてじん肺と密接な関係があると認められる疾病をいう。

三 粉じん作業 当該作業に従事する労働者がじん肺にかかるおそれがあると認められる作業をいう。

四 労働者 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。

五 事業者 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第二条第三号に規定する事業者で、粉じん作業を行う事業に係るものをいう。

② 合併症の範囲については、厚生労働省令で定める。

③ 粉じん作業の範囲は、厚生労働省令で定める。

(じん肺健康診断)

第3条 

この法律の規定によるじん肺健康診断は、次の方法によつて行うものとする。

一 粉じん作業についての職歴の調査及びエツクス線写真(直接撮影による胸部全域のエツクス線写真をいう。以下同じ。)による検査

二 厚生労働省令で定める方法による胸部に関する臨床検査及び肺機能検査

三 厚生労働省令で定める方法による結核精密検査その他厚生労働省令で定める検査

② 前項第二号の検査は、同項第一号の調査及び検査の結果、じん肺の所見がないと診断された者以外の者について行う。ただし、肺機能検査については、エツクス線写真に一側の肺野の三分の一を超える大きさの大陰影(じん肺によるものに限る。次項及び次条において同じ。)があると認められる者その他厚生労働省令で定める者を除く。

③ 第一項第三号の結核精密検査は同項第一号及び第二号の調査及び検査(肺機能検査を除く。)の結果、じん肺の所見があると診断された者のうち肺結核にかかっており、又はかかつている疑いがあると診断された者について、同項第三号の厚生労働省令で定める検査は同項第一号及び第二号の調査及び検査の結果、じん肺の所見があると診断された者のうち肺結核以外の合併症にかかつている疑いがあると診断された者(同項第三号の厚生労働省令で定める検査を受けることが必要であると認められた者に限る。)について行う。ただし、エツクス線写真に一側の肺野の三分の一を超える大きさの大陰影があると認められる者を除く。

(エツクス線写真の像及びじん肺管理区分)

第4条

じん肺のエツクス線写真の像は、次の表の下欄に掲げるところにより、第一型から第四型までに区分するものとする。(表)

② 粉じん作業に従事する労働者及び粉じん作業に従事する労働者であつた者は、じん肺健康診断の結果に基づき、次の表の下欄に掲げるところにより、管理一から管理四までに区分して、この法律の規定により健康管理を行うものとする。(表)

(予防)

第5条 

事業者及び粉じん作業に従事する労働者は、じん肺の予防に関し、労働安全衛生法及び鉱山保安法(昭和二十四年法律第七十号)の規定によるほか、粉じんの発散の防止及び抑制、保護具の使用その他について適切な措置を講ずるように努めなければならない。

(教育)

第6条 

事業者は、労働安全衛生法及び鉱山保安法の規定によるほか、常時粉じん作業に従事する労働者に対してじん肺に関する予防及び健康管理のために必要な教育を行わなければならない。

(就業時健康診断)

第7条 

事業者は、新たに常時粉じん作業に従事することになつた労働者(当該作業に従事することとなつた日前一年以内にじん肺健康診断を受けて、じん肺管理区分が管理二又は管理三イと決定された労働者その他厚生労働省令で定める労働者を除く。)に対して、その就業の際、じん肺健康診断を行わなければならない。この場合において、当該じん肺健康診断は、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を省略することができる。

(定期健康診断)

第8条 

事業者は、次の各号に掲げる労働者に対して、それぞれ当該各号に掲げる期間以内ごとに一回、定期的に、じん肺健康診断を行わなければならない。

一 常時粉じん作業に従事する労働者(次号に掲げる者を除く。) 三年

二 常時粉じん作業に従事する労働者でじん肺管理区分が管理二又は管理三であるもの 一年

三 常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理二である労働者(厚生労働省令で定める労働者を除く。) 三年

四 常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理三である労働者(厚生労働省令で定める労働者を除く。) 一年

② 前条後段の規定は、前項の規定によるじん肺健康診断を行う場合に準用する。

(定期外健康診断)

第9条 

事業者は、次の各号の場合には、当該労働者に対して、遅滞なく、じん肺健康診断を行わなければならない。

一 常時粉じん作業に従事する労働者(じん肺管理区分が管理二、管理三又は管理四と決定された労働者を除く。)が、労働安全衛生法第66条第1項又は第2項の健康診断において、じん肺の所見があり、又はじん肺にかかつている疑いがあると診断されたとき。

二 合併症により一年を超えて療養のため休業した労働者が、医師により療養のため休業を要しなくなつたと診断されたとき。

三 前二号に掲げる場合のほか、厚生労働省令で定めるとき。

② 第7条後段の規定は、前項の規定によるじん肺健康診断を行う場合に準用する。

(離職時健康診断)

第9条の2 

事業者は、次の各号に掲げる労働者で、離職の日まで引き続き厚生労働省令で定める期間を超えて使用していたものが、当該離職の際にじん肺健康診断を行うように求めたときは、当該労働者に対して、じん肺健康診断を行わなければならない。ただし、当該労働者が直前にじん肺健康診断を受けた日から当該離職の日までの期間が、次の各号に掲げる労働者ごとに、それぞれ当該各号に掲げる期間に満たないときは、この限りでない。

一 常時粉じん作業に従事する労働者(次号に掲げる者を除く。) 一年六月

二 常時粉じん作業に従事する労働者で、じん肺管理区分が管理二又は管理三であるもの六月

三 常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理二又は管理三である労働者(厚生労働省令で定める労働者を除く。) 六月

② 第7条後段の規定は、前項の規定によるじん肺健康診断を行う場合に準用する。

(労働安全衛生法の健康診断との関係)

第10条 

事業者は、じん肺健康診断を行つた場合においては、その限度において、労働安全衛生法第66条第1項又は第2項の健康診断を行わなくてもよい。

(受診義務)

第11条 

関係労働者は、正当な理由がある場合を除き、第7条から第9条までの規定により事業者が行うじん肺健康診断を受けなければならない。ただし、事業者が指定した医師の行うじん肺健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師の行うじん肺健康診断を受け、当該エツクス線写真及びじん肺健康診断の結果を証明する書面その他厚生労働省令で定める書面を使用者に提出したときは、この限りでない。

(じん肺管理区分の決定手続等)

第13条 

第7条から第9条の2まで又は第11条ただし書の規定によるじん肺健康診断の結果、じん肺の所見がないと診断された者のじん肺管理区分は、管理一とする。

② 都道府県労働局長は、前条の規定により、エツクス線写真及びじん肺健康診断の結果を証明する書面その他厚生労働省令で定める書面が提出されたときは、これらを基礎として、地方じん肺診査医の診断又は審査により、当該労働者についてじん肺管理区分の決定をするものとする。

第3~5項 略

(事業者の責務)

第20条の2 

事業者は、じん肺健康診断の結果、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業上適切な措置を講ずるように努めるとともに、適切な保健指導を受けることができるための配慮をするように努めなければならない。

(粉じんにさらされる程度を低減させるための措置)

第20条の3 

事業者は、じん肺管理区分が管理二又は管理三イである労働者について、粉じんにさらされる程度を低減させるため、就業場所の変更、粉じん作業に従事する作業時間の短縮その他の適切な措置を講ずるように努めなければならない。

(作業の転換)

第21条 

都道府県労働局長は、じん肺管理区分が管理三イである労働者が現に常時粉じん作業に従事しているときは、事業者に対して、その者を粉じん作業以外の作業に常時従事させるべきことを勧奨することができる。

第2~4項 略

 

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