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【第1章】5 労働災害の原因の調査と再発防止対策①

はじめに

労働災害は発生しないのが一番ですが、不幸にして起こってしまった災害の再発防止のためには「原因の調査」が欠かせません。

また、「どうして災害が発生するのか?」という一般的な災害発生のメカニズムがわかれば、事前に防止対策を立てることも可能になります。

なお、労働安全衛生規則第96条には、移動式クレーンの転倒・倒壊などの特定の事故については所定の様式により労働基準監督署に提出しなければならないことが定められています。

また第97条では発生した休業災害及び死亡災害についての報告(休業4日以上の死傷災害は遅滞なく、4日未満は4半期ごと)が定められています。

5-1 4Mによる災害分析

前節で災害発生の直接原因は「不安全な状態」と「不安全な行動」にあると述べましたが、それらは具体的にどのようなものでしょうか。また、突然目の前に「不安全な状態」が出現したり、本人も意識しないうちに「不安全な行動」をするものなのでしょうか。


現在地域や災害の種別を問わず世界的に認知されている災害分析手法に、NTSB(米国運輸安全委員会)による4M方式があります。

4Mによる災害分析

1.Man(人的要因);

①心理的要因;場面行動(他の事柄に気付かず、前後に見境もないまま行動する)、忘却(ど忘れ)、考え事、(家族問題、借金等)、無意識行動、危険感覚のずれ、省略行為、憶測判断、ヒューマンエラー

②生理的要因;疲労、睡眠不足、アルコール、疾病、加齢

③職場的要因;人間関係、リーダーシップ、チームワーク、コミュニケーション

2.Machine(機械要因);

機械設備の設計上の欠陥、危険防護不良、人間工学的配慮不足、標準化不足、点検整備不良

3.Media(環境要因、ManとMachineをつなぐ媒体);

作業情報不適切、作業動作の欠陥、作業方法不適切、作業空間不良、作業環境不良

4.Management(管理要因);

管理組織の欠陥、規程・マニュアル不備、教育訓練不足、部下に対する監督・指導不足、適正配置不十分、健康管理不足

不安全行動と不安全状態の例

例えば、ある災害が発生した際に「安全装置を無効にした」という不安全行動が一つの要因だったとすると、往々にして作業者の失敗・責任としてとらえられ、それに基づく指導・教育などの対策が取られがちですが、他の要素も考慮して問題点を分析する必要があるということです。

・忘却や危険感覚のずれといった人の問題

・機械設備の設計上の欠陥や人間工学的配慮不足といった機械要因

・作業情報不適切や作業動作の欠陥といった環境要因

・規程・マニュアル不備や教育訓練不足などの管理要因


 

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