【第1章】4 安全活動⑤
4-3 第三次産業の労働災害防止
戦後日本の産業構造は大きく変化しており、近年第三次産業の就業者が約7割を占めるに至っています。それに伴い労働災害も増加しており、休業4日以上の労働災害は平成17年に製造業を抜き、以後も増加し続けて最近では全体の5割近くを占めている状況です。
また、その半数近くが小売業、社会福祉施設及び飲食店において発生しており、災害の種類(「事故の型」)としては「転倒」・「動作の反動・無理な動作(腰痛など)」・「切れ・こすれ」・「高温・低温の物との接触」・「交通事故」などが多くを占めています。
産業界全体として見ると死亡災害は減少しているものの、休業災害は横ばいか、年によっては増加している場合もあり、労働施策の中でも第三次産業における労働災害の防止は大きな課題となっています。なお、背景として以下のような問題点が考えられます。
・施設設備の改善が不十分
・非正規労働者に対する安全衛生教育が不十分
・高年齢作業者の割合が高い
・異業種からの入職者が多い
・女性就業者の割合が高い(転倒災害に於いては女性の割合が高い)
・外国人労働者に対する指導や安全衛生教育が不十分
これらを踏まえ平成30(2018)年3月30日付で新たに「第13次労働災害防止計画を踏まえた第三次産業における労働災害防止対策の推進について」が示されており、その概要は以下のとおりです。
第1 基本方針等
1 第三次産業における労働災害の発生状況
第三次産業における労働災害は、近年増加の傾向にあり、全産業の休業4日以上の死傷災害のうち4割以上(46.0%)が第三次産業におけるものであり、さらにその半数近くが小売業、社会福祉施設及び飲食店において発生している。これらの業種においては、労働者数の増加に伴って件数が増加しているばかりではなく、発生率も減少していない。
なお、これらの業種の労働災害の特徴は以下のとおりである。
【死傷者数】H28年:54,280人(H24年:51,850人、対H24年比4.7%増)
【死傷年千人率】
(小売業)H28年:2.24(H24年:2.24)、
(社会福祉施設)H28年:2.11(H24年:1.99)、
(飲食店)H28年:1.79(H24年:1.76)
(1) 小売業
小売業の労働災害(H28年:13,444人)について見ると、「転倒」が約3分の1を占め、次いで「動作の反動・無理な動作」(腰痛)、「交通事故(道路)」が多く、被災者の過半数は50歳以上である。
(2) 社会福祉施設
社会福祉施設の労働災害(H28年:8,281人)について見ると、「動作の反動・無理な動作」(腰痛)が大幅に増加している。「動作の反動・無理な動作」(腰痛)、「転倒」の二つで約3分の2を占め、次いで「交通
事故(道路)」が多く、被災者の過半数は50歳以上である。
(3) 飲食店
飲食店の労働災害(H28年:4,791人)について見ると、「転倒」に加え、調理中の「切れ・こすれ」、「高温・低温の物との接触」が多く、被災者のうち、30歳未満及び50歳以上がそれぞれ3分の1を占める。
2 重点業種における安全管理上の課題と対策
第三次産業のうち、13次防において重点業種とされている小売業、社会福祉施設及び飲食店(以下「重点業種」という。)においては、高年齢者を中心とした他産業からの入職者が増加しているため、業務に対する経験不足や加齢に伴う身体機能の低下等の影響により、高年齢労働者の被災リスクが高まっていると考えられることから、安全衛生教育の徹底や高年齢労働者でも働きやすい職場環境の整備等の取組が重要である。加えて、飲食店で働く若年層については、非正規労働者の割合が高まっているが、危険性の高い機械等を使用する機会が少ないこともあって、事業者はもとより、労働者においても危険に対する認識が十分ではないと思われることから、雇入れ時等の安全衛生教育の徹底が重要である。
(以下省略)
また、通達中に『「働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動」実施要綱』が示されており、対象となる事業者に具体的実施事項が定められています。
【参考サイト】
厚労省:第三次産業の労働災害防止対策について
すべての関係事業者向け
・第3次産業で働く皆さまへ~安全で安心な職場をつくりましょう~
・職場での腰痛を予防しましょう他小売業の事業者向け
・小売業における危険の「見える化」他社会福祉施設の事業者向け
・社会福祉施設の安全管理マニュアル他飲食店の事業者向け
・飲食店の労働災害防止マニュアル他
※上記はパンフレット等資料の一例です。
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