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企業を取り巻く環境の変化

日本では戦後の経済復興・成長とともにモータリゼーションが急速に進展しました。その時期に当たる1940年代後半から70年半ばごろまで、交通事故の死者数(統計上は発生から24時間以内に死亡した場合の数)や負傷者数は、増加の一途をたどりました。


急速な車社会の進展に対し、道路整備や信号機、道路標識等の交通安全施設が不足していたことや、車両の安全性を確保するための技術も未熟であったことがその理由と考えられています。また、こういった社会の変化と交通安全に対する人々の認識もまだまだ乏しく、十分な交通安全対策が取られているとは言いがたかったのです。そのため、1970年には交通事故死者数が史上最悪の1万6765人を記録します。


その後、交通安全に対する意識の高まりや関連法規の整備、車両の安全機能の向上、交通インフラの整備といった積み重ねにより、交通事故の死者数は非常に減少しています。2016年の交通事故死者数は3904人であり、過去最悪であった1970年の4分の1以下、1949年以来実に67年ぶりに4千人を下回ることとなりました。


なお、現在においても減少傾向は顕著で、2023年における事故発生から24時間以内の死者数は2,678人と統計結果が出ています。(内閣府令和6年版交通安全白書より)

内閣府令和6年版交通安全白書より

※参考サイト

内閣府:令和6年版交通安全白書 陸上交通


また、同様に交通労働災害の発生件数も減少傾向にあります。一見横ばいに見えるものの、令和1~5年を平均すると1割台と確実に減少を辿っています。。

厚生労働省 労働災害発生状況(平成26~令和5年)

厚生労働省 労働災害発生状況(平成26~令和5年)


しかし、企業や管理者の立場からすれば、「たったの1回」で信用を落としてしまうのが事実です。可能な限りの対策を講じるに越したことはありません。


最近の事案としては、死者数こそ1名であったものの35名もの重軽傷者を出した2022年の静岡観光バス横転事故、その後に発生した2023年の八雲町都市間高速バス正面衝突事故では、5名が死亡、12名が重軽傷を負っています。特に、八雲町の事案では事故前に運転手の男性が体調不良を訴えていたことが判明するなど、ツアーバスの運行会社の法令違反、ずさんな運行管理をはじめ、バスの運転手の過酷な労働環境等々、交通労働災害の側面からも厳しい視線を集めることとなっています。


安全対策や法令遵守を軽視したため、重大事故を起こした企業や管理者への厳しい目は、今後も強まっていくでしょう。このような社会環境において、企業や管理者の立場から、企業が果たすべき社会的責任(CSR)など、安全運転管理をはじめとした十分な準備や対策が求められているのです。

 

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