2番目のS、整頓とは
整理をすることで必要なものが手元に残りました。2つ目の整頓は、この「必要なものを必要なときに、すぐ取り出すことができるようにしておくこと」。また、「必要なものをいつでも使えるようにしておくこと」を指します。
さらに一人の人間だけでなく、職場の皆に「必要なもの」が分かるような状態にしておくことも求められます。
もし整頓が行き届いていなければ、必要なものを探すのに右往左往し、時間をかけることになります。これはムダな行為であり、ムダな時間です。
毎日の業務を懸命に行っていたとしても、その業務の中身がものを探すムダな時間だったとしたらそれは残念なことです。この時間を他の業務に充てることができたら、ムダをなくし、さらに業務効率を上げることができるでしょう。
◆人の動き、使用頻度を優先したレイアウトを考える
そこでまず考えたいのが、人の動きです。作業をする人の動きを考えて、業務に必要なものが手の届く範囲にあるのが理想です。会社のレイアウトも、人の動線に合わせて変える必要が出てきます。
例えばトヨタでは、工場作業において必要な部品・工具は体の脇があかずに手に取れるところに置くと徹底して決めています。モノの使用頻度や利き手まで考慮する合理的な方法を貫いているそうです。
そうはいっても、職場のスペースには限りがあります。ですから、優先順位を意識して整頓を行わなければなりません。
重要になるのが、モノを使う頻度です。最も使うものを体の近くに置いておくのは当然のこととして、一週間に一度、一ヵ月に一度程度のものは少しはなれた棚などの収納スペースに置きましょう。
半年に一度くらいや、一年に一度程度しか使わないようなモノであれば、別室に収納しておいても構わないはずです。
よく使うものは身近に、あまり使わないものは少し遠くにということを徹底するだけで。
ものを探す時間を減らすことができるのです。
◆モノの「見える化」を進めよう
モノの置き場を皆で共有し、誰もが一目瞭然の状態にすること。これが「見える化」するということです。整頓とは、職場を見える化することなのです。
書類なども見える化を進めるため、扉のついたキャビネットなどは扉をはずして保管することも考えられます。扉があることで中が見えず、整理整頓が行き届かなくなります。扉を外してしまえば、ごまかしがききませんし、中もよく見えるようになります。ふたのついた工具箱なども同様です。
またさまざまな人が使用するものには定位置を必ず作りましょう。使ったらその定位置に必ず戻すというルールです。
そしてこのルールを徹底し、職場で周知することです。例えば定位置を決めたら紙に書いて貼り出すなどして、誰が見ても見えるようにする、見える化を徹底します。写真などを貼って、どこに何をおくのかを明示する方法もよく採用されています。
業務の引継ぎを行うときも、このように定位置を決めて守ることで、スムーズに行えます。
工場やオフィスを地図として書き表し、コピー機は○丁目○番地とたとえ、モノの住所を決めているのがトヨタです。こういった工夫を真似て、職場独自のモノの見える化を進めましょう。
書類分類マップの例
また、整理の時と同様、全体を俯瞰して管理する役割も必要です。管理責任者を決めたら、さらに上司である監督者がフォローし、職場全体で整頓に取り組む体制を整えます。
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